インバーカーギルからさらに南へ約30km。ニュージーランド最南端の港町、Bluff(ブラフ)に到着しました。
早朝に予約していたタクシーに乗って約30分。車があれば簡単にアクセスできますが、バスの路線はなく、タクシーは事前予約が必須です。運転手さんに「何時にここで待ってるよ」とだけ告げられて去っていったときは、本当に来てくれるのか少し不安になりましたが……(笑)

ブラフはニュージーランドで最も古いヨーロッパ人入植地のひとつで、南島の「果て」として知られる場所です。今回の目的地はもちろん、世界中から旅人が訪れるSterling Point(スターリングポイント)。ちなみに、世界で最も南に位置する都市はアルゼンチンのフエゴ島にあるウシュアイア(Ushuaia)だそうです。
この日は曇り空でしたが、むしろその灰色の空がこの土地の持つ荒々しさと孤独な雰囲気をより深く感じさせてくれた気がします。
Bluff Heritage Trail:歴史案内板がお出迎え

最初に目に飛び込んでくるのが、Bluff Heritage Trailの案内板。かつて捕鯨の拠点として栄え、海と共に生きてきたこの町の歴史がぎっしりと記されています。案内板には、Stirling Pointのサインポールがどのように設置され、何度か破壊されるたびに補強されながら現在の形になったかという経緯も書かれていました。看板ひとつにも、この場所が積み重ねてきた歴史の重みを感じます。

世界中へ距離を示すサインポール:ここが本当の”南の果て”

ブラフに来たら絶対に見逃せないのが、世界各地への距離を示す黄色いサインポールです。
- London:18,958 km
- Tokyo:9,567 km
- Kumagaya(熊谷):9,632 km ← まさかの熊谷(笑)
- Cape Reinga:1,401 km(NZ最北端)
- Dog Island:6 km(ローカル感がたまらない)

このポールを前にすると、自分がいかに遠くへ来たのかをしみじみと実感します。ちなみに熊谷が載っているのは、インバーカーギルの姉妹都市だから。なぜ熊谷なのかは謎ですが(笑)。
緯度は46°36’S。まぎれもなく、南の端っこです。灰色の空、低くうなる波、どこか孤独な海岸線——この時は8月、南島は真冬で、身に染みるような寒さでした。

あまり知られていない絶景:荒々しい海岸線と白い灯台

サインポールの横の展望デッキからは、荒々しい波しぶきが立つ南の海が広がります。「南の中の南にいるんだな」と、思わず感慨深くなる眺めです。遠くに見える小さな白い灯台は、嵐に消えてしまいそうなほど静かで小さな存在なのに、この景観になくてはならない一部として佇んでいます。冬にも関わらず海の色は薄いターコイズブルーを帯びていて、どこかスコットランドやアイルランドの海辺を思わせました。




Bluffの港町風景:静かな漁港のリアルな日常

丘の上からブラフの街を見下ろすと、その小ささがかえって愛おしい。小さな家々、漁港、貨物船、ガタンと音を立てて動くクレーン。観光地というより「働く港町」の空気が漂い、旅人の姿より地元の人々の暮らしの匂いがします。こういう場所に来ると、旅をしているという実感が強くなります。

海岸沿いの原生林トレイル:ミニフィヨルドのような世界

ブラフといえば港のイメージが強いですが、実は原生林のトレイルが驚くほど美しい。ニュージーランド特有のシダの森、太く捻じれた木々、湿った土の匂い、木道と階段が続くルート——まるで映画の中に迷い込んだような風景です。ときどき海岸に出ると、黒い溶岩のような岩場と荒い波が広がり、森と海が数十メートルごとに入れ替わる、他では味わえない不思議なトレイルでした。

ブラフ名物「グリーンマッスル」が絶品だった

街歩きを終えた後は、ブラフ名物のGreen-lipped Mussels(緑イガイ)を注文。鮮やかなグリーンの貝殻に、プリプリの身。ニンニク・白ワイン・トマトでソテーされた風味豊かな一皿で、添えられたクラムチャウダー風の濃厚スープも絶品でした。ブラフを訪れるなら、これは絶対に外せない一品です。

あれ、Bluff Oysterは?
「そういえばメインの目的のブラフオイスターはどうなったの?」と気になっている方もいるかと思います。残念ながら、この時は8月でシーズン終盤だったらしく、お店では取り扱いがありませんでした。
それでも諦めきれず、スーパーで購入して食べることに。なぜかアボカドと合わせて食べたのですが(笑)、友達に写真を見せたら「キモ!」と一蹴されました。見た目はともかく、身は大きくとても新鮮でした。ただ、正直あまり感動が残っていないので、もしかしたらシーズン最盛期でないと本領発揮されないのかもしれません。ブラフオイスターのシーズンは5〜8月とのことなので、いつか5〜6月に改めて挑戦してみたいと思っています。

おわりに:世界の端で見える景色
ブラフは観光地としては小さな町ですが、ここでしか味わえない世界があります。サインポール、荒れた海と灯台、原生林のトレイル、そして新鮮なシーフード。インバーカーギルから足を伸ばす価値は十分にあります。派手な絶景ではないけれど、手つかずの自然と「地の果て」にしか漂わない独特の空気感が、この場所を特別なものにしています。南島を周遊するなら、ぜひ旅程に組み込んでみてください。次回は、あの大地震の直前に訪れたクライストチャーチをご紹介します。



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