【Germany Vol.1】バルト海に堕ちた要塞。ヴストロウの「廃墟アート」と世界遺産シュトラールズント

Germany (ドイツ)

1. ベルリンから北へ、海を目指して

ベルリンに住んでいた頃、ドイツ国内の旅行にも行きました。 ドイツというと、ノイシュバンシュタイン城、ケルン大聖堂、ミュンヘン、デュッセルドルフが観光名所として有名ですが、今回のお話する旅はバルト海周辺のバケーションハウスで静かに過ごした体験です。

実はドイツで「海」が見られるのは、北部のバルト海と北海沿岸だけなのです。

ベルリンから少し足を伸ばせば、そこには白い砂浜と、かつての要塞が眠る青い海が広がっています。

まずはベルリンから電車でリブニッツ=ダムガルテン(Ribnitz-Damgarten)へ向かいました。Berlin Hauptbahnhof からRostock駅まで行き (2時間くらい)そこからローカル線に乗り換えてRibnitz-Damgartenまで30分くらいで着きます。そこからタクシーに乗り換え、半島にある小さなリゾート地ヴストロウ(Wustrow)へと向かいました。

2. 海に突き刺さる「グラフィティの要塞」

ヴストロウは、フィッシュランド=ダルス=ツィングスト半島(Fischland-Darß-Zingst)の入り口にある美しい海辺の町で、 ホテルではなくバケーションハウスを借りたのが正解でした。 本当に静かな街であまり人もいませんでした。

海岸へ出ると、白い砂浜がどこまでも続いていますが、 そこで不思議な物体を見つけました。

海の中に巨大なコンクリートの塊が鎮座し、鮮やかなグラフィティで彩られていました。 これはただの岩ではないらしく、かつて崖の上にあった軍事施設(バンカー)の跡だそうです。 調べたところ、長い年月の海岸浸食によって崖が崩れ、要塞ごと海へ滑り落ちたそうです。

波に洗われるコンクリートの廃墟と、そこに描かれたカラフルなアート。 美しい自然と、打ち捨てられた歴史の遺産。日本では絶対に見られない光景ですね。

3. 世界遺産の港町、シュトラールズント(Stralsund)へドライブ

滞在中、友人に車をレンタルしてもらい、そこから東にある「シュトラールズント(Stralsund)」へ。 ハンザ同盟の主要都市として栄え、旧市街全体がユネスコ世界遺産に登録されている街です。

車を降りると、そこは赤レンガの世界でした。

▲世界遺産のシンボル、シュトラールズント市庁舎(右)と聖ニコライ教会(左)。

目の前にそびえ立つのは、シュトラールズント市庁舎(Rathaus)。 空に向かって突き刺さるようなギザギザの屋根。これは「レンガ・ゴシック(Backsteingotik)」と呼ばれる、北ドイツ特有の建築様式です。 石材が不足していたこの地域では、赤土を焼いたレンガを使って、いかに神に近づけるか、いかに権力を示せるかを競ったそうです。

この圧倒的なファサードは、バルト海沿岸でも最高傑作の一つと言われているそうです

4. 港町としての誇りと、戦いの歴史

街を歩くと、至る所に「海と共に生きてきた歴史」を感じます。

▲港に停泊する帆船「ゴルヒ・フォック号(Gorch Fock I)

港には、かつての海洋国家の威厳を感じさせる美しい帆船が停泊していました。

14世紀、この街はハンザ同盟の中心として、当時の大国デンマークと戦争(ハンザ戦争)を繰り広げました。 そして1370年、この地で「シュトラールズントの和議」が結ばれ、ハンザ同盟はバルト海の覇権を決定づけたのです。 街の博物館には、かつてのバイキングの遺産とも言われる黄金が展示されており、この海が何世紀にもわたって争奪の舞台だったことを物語っています。

港沿いに並ぶ巨大なレンガ倉庫。 かつてここには、世界中から運ばれてきた塩、毛皮、香辛料が積み上げられていたのでしょう。そのスケール感は、現代のビルにも引けを取りません。

街の路地裏には、こんなグラフィティもありました。

「Tierrechte!(動物の権利!)」と書かれた壁画。 中世の重厚な街並みの中に、現代の若者たちの主張が混ざり合っているのが面白い。

5. 旧市場広場の夜景

夜になって、街の中心「Alter Markt(旧市場広場)」へ戻りました。

ライトアップされた市庁舎と、広場の中心に立っているクリスマスツリー。 この美しい夜景にうっとりしながら地ビールの飲み比べ。最高の夜となりました。

北ドイツの旅は、雄大な自然と人間が築き上げた重厚な歴史の両方を見せてくれました。 次回は、さらに西へ。ドイツ最大の港町【ハンブルク編】へ続きます。

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