ダニーデンとティマルを経由して到着したクライストチャーチは、どんよりとした灰色の雲に覆われていました。観光日和とはいえませんでしたが、冬とはいえ気温はそこまで低くなく、街を歩くのに不都合はありません。
実はクライストチャーチは、私がニュージーランドへの留学を決意するきっかけになった街です。大学生の頃、家族とこの街を旅行で訪れ、その美しさにすっかり心を奪われてしまいました。「ニュージーランドに住んでみたい」という気持ちが芽生えたのはあの時で、その後留学を決意したのですが……なぜか留学先に選んだのは、何も知らなかったダニーデンでした(笑)。
ホステルにチェックインした後、日が暮れるまでの時間を使って、少しだけ市内を歩いてみることにしました。
【Day 1】曇り空のクライストチャーチを散策
Cathedral Square(大聖堂広場)——地震前の大聖堂がそこにあった
最初に向かったのは、クライストチャーチの象徴ともいえるCathedral Square。写真を見ると、大地震以前のChristchurch Cathedralがまだ美しい姿のまま凛と立っています。ゴシック様式の尖塔、大きなバラ窓、重厚な石造りの外観。2011年の地震でこの大聖堂が崩れることを、その場に立っていた誰も想像していなかったはずです。現在は修復・再建工事が進んでいるものの、15年以上が経った今もまだ完成には至っていないそうです。

大聖堂の隣には、青と銀色に輝く巨大な現代アート作品「The Chalice(チャリス)」。曇り空の下でも存在感は抜群で、広場のもうひとつのシンボルとして空間を引き締めていました。広場の中心には像が立ち、石畳がまっすぐ伸びています。観光客がちらほらと行き交い、露店も並び、地元の人々も気軽に立ち寄る——そんな「街の居間」のような場所でした。

Bridge of Remembrance(戦没者慰霊アーチ)
次に向かったのは、Avon River(エイボン川)沿いに立つBridge of Remembrance。戦争で命を落とした兵士たちを追悼するために建てられたアーチで、白い石の優美なデザインが川沿いの風景に溶け込んでいます。静かに水が流れるエイボン川のほとりに立つと、この街の穏やかさと歴史の重みを同時に感じました。

Colombo Street——トラムが走るメインストリート
クライストチャーチの目抜き通りのひとつ、Colombo Streetへ。レールがまっすぐ伸びる石畳の通りの両側に、老舗の商店と現代的なショップが並ぶ、新旧が入り混じった賑やかな通りです。

カフェでひと休み

歩き疲れたところで、雰囲気の良いカフェに立ち寄り、ホットチョコレートを一杯。木のテーブル、柔らかな照明、レンガ造りの壁。シンプルだけど温かみのある、ニュージーランドらしい空間で、旅の疲れがじんわりとほぐれていきました。

【Day 2】青空が戻ったクライストチャーチ、市内散策の続き
翌朝は打って変わって快晴。昨日の曇り空が嘘のように、気持ちの良い青空が広がっていました。
Avon River沿いの散歩道

クライストチャーチの中心部をゆったりと流れるAvon River。透明度が高く、水面に沿岸の建物や木々が鮮やかに映り込みます。都市の真ん中にこれほど穏やかな自然の流れがあること自体、クライストチャーチならではの魅力です。川沿いを歩くだけで、この街が特別だということが伝わってきます。

Canterbury Museum(カンタベリー博物館)

天気が良いうちにと、すぐ近くのCanterbury Museumへ。館内には見応えのある展示が揃っていました。絶滅鳥モア(Moa)の骨格標本と原寸大の復元モデル、マオリの伝統的な木彫り、恐竜のコーナーなど。

中でも圧倒されたのが、モアの巨大さです。ニュージーランドにかつて生息していた飛べない鳥で、最大で体高約3.5メートルに達したとされています。マオリの人々による乱獲が主な原因で、15世紀頃までに絶滅したと考えられています。骨格の前に立って「もし今も生きていたら」と想像すると、思わず鳥肌が立ちます——鳥だけに(笑)。

再びトラムの走る街へ
博物館を出ると、空はさらに明るくなっていました。最後にもう一度中心部を歩き、クラシックなChristchurch Tramが石畳の通りを走る風景を目に焼き付けました。街の雰囲気と見事に調和したその姿は、クライストチャーチらしさの象徴のようでした。

街を歩いて感じたこと

写真を見返すたびに、あの街の美しさが蘇ってきます。大地震前のクライストチャーチは、まるでヨーロッパの街を歩いているような気品と落ち着きがありました。今回が2度目の訪問でしたが、初めて訪れた時の感動は今でも色褪せません。あの街並みを記録できた写真が、今や何にも代えがたい記録になっています。
次回は、街を離れてWillowbankへ——ニュージーランドの国鳥キウィに会いに行った時のお話をします。


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