第1章では「静かで美しい建築」、第2章では「雄大な自然」を紹介してきました。しかし、ダニーデンにはもう一つ、まったく別の顔があります。
それは、ニュージーランド屈指の学生街としての顔。
そして、ラグビーへの異常なまでの愛と熱狂です。
今回は、2010年当時に私が肌で感じた「青と黄色(Blue & Gold)」の熱気と、今はもう解体されてしまった伝説のスタジアムについて綴ります。
街の誇り:青と黄色(Blue & Gold)
週末、ラグビーの試合がある日は、街の景色が一変します。オタゴ地方のチーム「ハイランダーズ(Highlanders)」やオタゴ代表のチームカラーである青と黄色に、街全体が染まるのです。

スーパーのおばちゃんからバスの運転手まで、みんながこのカラーを身につけて応援する。
この一体感こそが、ダニーデンの本当の魅力かもしれません。

伝説のスタジアム:カリスブルック(Carisbrook)

※2026年現在、このスタジアムは取り壊され、もう存在しません。
当時のダニーデンには、「The House of Pain(痛みの館)」という異名を持つ、恐ろしいスタジアムがありました。それがカリスブルック(Carisbrook)です。

相手チームにとって“痛み”になる理由はこの3つ。
- 南極からの冷たい風が吹き抜ける寒さ
- アウェイチームを圧倒する観客の怒号
- ピッチと客席の距離の近さ
ここで試合をする相手にとっては、文字通り「痛み」を味わう場所だったのだと思います。
聖地で見たオールブラックスと魂のハカ(Haka)
そして幸運にもチケットが手に入り、ニュージーランド代表「オールブラックス(All Blacks)」のテストマッチを観戦できました。
相手チームが入場し、スタジアムが異様な静寂に包まれた瞬間。あの儀式が始まります。
そう、Hakaです。
このとき見たのは、“Kapa O Pango”。有名な “Kā mate” とは別バージョンで、迫力がありすぎて鳥肌が立ちました。テレビで見るのとはまったく別物。
「House of Pain」と呼ばれたカリスブルックで見るハカは、相手チームだけでなく、観客である私たちにも“恐怖”と“感動”を同時に与えるものでした。
試合結果はオールブラックスの圧勝。街全体が黒一色(All Black)に染まり、夜遅くまでパブで祝杯が上がっていました。

まとめ:静と動が共存する街
美しいヴィクトリア朝の建築と、海に抱かれた壮大な自然。そして、知的なアカデミズムと熱狂的なラグビーファンたち。ダニーデンでの生活は、私にとってかけがえのない体験でした。
あれから約15年。青と黄色のジャージを身にまとい、声を張り上げて応援していた日々が、今ではひときわ愛おしく感じられます。


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